枯れることは美しいこと

花を見送る瞬間が私は好きです。

咲ききった花が静かに力を抜いていくその姿に
いつも“生ききる”という言葉の意味を教えられます。

花は枯れることで次のいのちへつながります。
見た目はもう終わりのように見えても
その奥では確かに役目を果たしています。
散る花びらが土に還り新しい芽を育てていく。
その循環の中にこそ美しさがあると感じます。

市場で仕入れたときの凛とした姿
店に飾り お客様に選ばれ
そして花瓶の中でその時を静かに終えるまで。
花の一生を見ていると
どの瞬間にもちゃんと“意味”があるのだと気づかされます。

たとえばドライになった花の色の深み。
くすんでいく過程にも味わいがあり
それは若いころには出せない美しさです。
人もきっと同じ。
年を重ねるごとに心に滲む色がある。

枯れることは決して悲しいことではなく
次の季節へと橋をかけること。
終わりの中にこそ静かな希望がある。

花を通してそれを感じられることが
この仕事のいちばんの幸せかもしれません。

今日も花瓶の中の一輪に「ありがとう」と声をかけます。

その花が教えてくれたのは
“終わり”もまた美しいということ。

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